No.12 製造年式 ③ ノートン


ノートンの場合も、トライアンフと同様、工場から出荷される時点では、エンジンとフレームの番号は一致している。年式も、他のメーカーと同様、9月~8月を指す。例えば、1950年型とは1949年9月~1950年8月の間に生産されたことを意味する。


シングル

モデル・ナンバー

まず最初に知っておくべきことは、モデル(車種)ナンバーである。ノートンは、トライアンフのようにT120やTR6などと直接、モデルを表記せず、表1のようなモデル・ナンバーを設けている。

表1  モデルごとのナンバー   表2  年式とエンジン番号

モデル

ナンバー

モデル

(車種)

   年式

年式を表す

アルファベット

エンジン番号 
2 16H   1945   1001 ~
3 18   1946 A 2131 ~
3T 500T   1947 B 7756 ~
4 ES2   1948 C 13792 ~
6 19R   1949 D 20701 ~
7 Big 4   1950 E 27100 ~
8

16HとBig 4 spring frame

  1951 F 35560 ~
9 19S   1952 G 42700 ~
10 International 40   1953 H 48900 ~
10M Manx 40   1954 J 55350 ~
10M2

Manx 40 Featherbed

  1955 K 60700 ~
11 International 30   1956 L 66600 ~
11M Manx 30   1957 M 71360 ~
11M2

Manx 30 Feathebed

  1958 N 77400 ~
13 50        1959 P 80488 ~
      1960 R 87038 ~
      1961

1961~1965は、アフファベットは

付けられなかった。1960年までの

在庫が大量にあったので、

これを1965年まで使用したと

いわれている。

94500 ~
      1962 101060 ~
      1963 105000 ~
      1964 108138 ~
      1965 111650 ~

1945年以降の年式とエンジン番号

シングルのエンジン番号は、3つの要素から構成されている。すなわち、年式を表すアルファベット(表2)、モデル・ナンバー(表1)、エンジン番号(表2)である。エンジン番号は、モデルに関係なく連番。しかし、何番から何番までが何年式を示す記録が残されていないため、表2のエンジン番号は、およその番号である。

 

注記

私が以前に所有していたES2も含め、知り合いのエンジンの打刻を調べると、エンジン番号はあるものの、年式を表すアルファベットやモデル・ナンバーがなかったり、あるいは 79 x 100 のようにストロークが打刻されていたりと、必ずしも表1と表2のような表現になっていないケースもあった。なぜそうなかの、不明。

私が以前に乗っていたES2のエンジン番号。84828なので1959年に該当する。次のRから1960年式となる。つまり、1959年8月~1960年7月までに生産された。

分からないのが、次の「14」という数字。ES2なので「4」だけでいいが、なぜ「14」? 「14」は、ツインの表3に示すように「ドミナータ99」を意味するが・・・。「1」が消されたような痕跡がある。


ツイン


モデル・ナンバー

シングルと同様、モデルを直接、表記せず、表3のようなモデル・ナンバーを設けている。

   
表3  モデルごとのナンバー
モデル・ナンバー モデル (車種) 
12 Dominator 7
122 88
14 99
15 77 と Normad
16 Normad
17 Jubilee
18 650S
19 Navigator
20 Atlas
20M3 Commnado (Distributer)
20M3S Commando (Cam shaft point)
EL Electra

ドミネータ系

未完。

私が一番最初に所有した英車 Dominator 650SS。「18SS/107195/P」と読める。表3の650Sのスポーツ・スペシャル・バージョンと判別できる。「107195」なので表2から1963年型。最後の「P」は、何を意味するか不明。

Commando

表4のとおりである。

表4   Commandoの年式
排気量 年式 エンジン・フレーム番号 モデル
750cc 1967.8 ~ 123666 ~ 試作モデル
1968.2 ~ 126125 ~ 初期型モデル
1969.3 ~ 131180 ~ Fastback
131257 ~ カム・シャフト・ポイントのSタイプ
1969.9 ~ 133668 ~ カム・シャフト・ポイントのFastback
134108 ~

Wolverhampton工場でのエンジン生産開始

添え字Pは、Plumstead 生産を意味する

1970.3 ~ 135140 ~ Roadster
1970.6 ~ 135088 ~ S Type 最終型
1970.9 ~ 139571 ~ Fastback MK Ⅱ
1971.1 ~ 141717 ~ Fastback MK Ⅱ 最終型
141783 ~ Fastback MK Ⅲ
142534 ~ Roadster MK Ⅱ
1971.3 ~ 145234 ~ SS Type
1971.4 ~ 144343 ~ Fastback LR
1971.4 ~ 146074 ~ Hi Rider
1971.10 ~ 150723 ~ SS type 最終型
1972.1 ~ 200001 ~

Fastback MK Ⅳ

Fastback LR MK Ⅳ

Roadster MK Ⅳ

Hi Rider MK Ⅳ

Interstate

200976 ~ Combat Engine
211110 ~ Tuning Engine
1973.1 ~ 212278 ~ Interstate
1973.3 ~ 220000 ~

Roadster MK Ⅴ

Hi Rider MK Ⅴ

Interstate MK Ⅴ

1973.10 ~ 230935 ~ 750cc Commando 最終型
850cc 1973.4 ~ 300000 ~ 850cc 初期型
1973.9 ~ 306591 ~ MK Ⅰ A 850
1974.1 ~ 307311 ~ MK Ⅱ と Ⅱ A 850
1975.2 ~ 325001 ~ 左記エンジン番号のMK Ⅲ
F125001 ~ 左記フレーム番号のMK Ⅲ

私が以前に所有していたコマンドのエンジン番号。ややカーブしている部分に打刻してあるので、接写するとピンぼけするが、「20M3/126596」と読める。表4から、1968年型と分かる。しかも、初期型の471台目だ。