No.10 製造年式 ①トライアンフ


トライアンフの場合、コベントリーの工場から出荷される時点では、エンジンとフレームは同じ番号が打刻されているとの記述が多い。しかし、他の英国の関係書籍によれば、必ずしも一致しないとの記述もある。

なお、年式は8月から翌年7月までを指す。例えば、1965年式とは、1964年8月から翌1965年7月までの期間に生産されたことを意味する。毎年秋にEarls Court Showが開催され、このショウにて新車種が発表されたので、8月以降の生産を新しい型式とした。


シングル

1954年~1970年のT15(テリア)とT20(タイガーカブ)

シングル・エンジンでもっとも人気のある車種は、タイガーカブT20(200cc)である。そして、T20の前機種はテリアT15(150cc)だ。そこで、この2機種の年式を一緒にして下表に示す。

 

補足

1966年~1970年のエンジン番号の範囲は不明。いくつかの書籍で調べてみたが、「年式を特定するには、トライアンフ社の当時の関係者に聞け」という記述があるのみ。また、同じ番号が複数のエンジンに使用されているようだ。

年式

エンジン

フレーム

番号

T15 T20 T20C T20J T20CA T20S T20W T20T T20S/L  
1954 101                
1955 8518                
1956 17389                
1957 26276                
1958 35847            
1959 45312          
1960 56360            
1961 69517          
    T20 T20S/S T20S/H TS20 TR20 T20SC T20SR T20SS T20WD T20SM
1962 81890      
1963 88347    
1964 94600    
1965

99733

100013

   
   

T20

Bantam Cub

T20

Super Cub

T20M T20S/H T20SM T20MWD    
1966

101

10050

       
1967      
1968      
1969        
1970              

ツイン

1950年~1969年の350/500/650cc

エンジン番号は、T120やTR6などの車種を示す記号の次に、下表の番号が付く。

年式   別体500ccと650cc
1950   100N ~
1951   101NA ~ 15808NA
1952   15809NA ~ 25000NA    25000 ~ 32302
1953   32303 ~ 44134
1954   44135 ~ 56699
1955   56700 ~ 70929
1956   70930 ~ 82799    0100 ~ 0944
  ユニット350ccと500cc 別体650cc
1957 H101 ~ H760 0945 ~ 011115
1958 H761 ~ H5484 011116 ~ 020075
1959 H5485 ~ H11511 020076 ~ 029363
1960 H11512 ~ H18611 029364 ~ 030424    D101 ~ D7726
1961 H18612 ~ H25251 D7727 ~ D15788
1962 H25252 ~ H29732 D15789 ~
    ユニット650cc
1963 H29733 ~ H32464 DU101 ~ DU5824
1964 H32465 ~ H35986 DU5825 ~ DU13374
1965 H35987 ~ H40527 DU13375 ~ DU24874
1966 H40528 ~ H49832 DU24875 ~ DU44393
1967 H49833 ~ H57082 DU44394 ~ DU66245
1968 H57083 ~ H65572 DU66246 ~ DU85903
1969 H65573 ~ H67331 DU85904 ~ DU90282

エンジン番号は、クランク・ケースの左側上(エンジン・ボトムの下)に打刻されている。左写真は、かって私が所有していたT120のエンジン番号。上表から、1961年式であることが分かる。なお、「T120 RACING CAMSHAF.」と通常表記にはない打刻があるので、ひょっとしてレース仕様(?)。

フレーム番号は、三又から下に伸びるフレームの左側(タンクのすぐ前)に打刻されている。塗装が厚く塗られているので、見えにくい。私のT120は、エンジン番号とフレーム番号は一致していた。

私が以前に所有していたTR6のエンジン番号。上表から、1958年式であることが読み取れる。

1970年~1978年の650/750cc

年式表記のルールは大きく変わり、次の4つの要素から構成されている。

1970年以降の年式の表記ルール

例:NK52506T140V

左2文字はアルファベット、次に5桁の数字、そして車種という順の表記

左端アルファベット

1文字

左から2番目のアルファベット

1文字

左から3番目からの5桁の数字 車種

表1を参照

表2を参照

車種の最初の番号00100

からの連番

車種
例 : NK52506T140V
10月 1975年 シリアル番号が 52506 T140V

つまり、NK52506T140Vは、1975年10月に生産されたシリアル番号52506のT140Vということになる。

表1と表2には、F・I・L・M・Oの文字は使われていない。たぶん、"F"は"8"、"I"は"1"などと誤読されやすいからであろう。

また、表2には、1979年と1980年のモデルが掲載されていない。この2年間、T140DとTR7が生産されているが・・・。トライアンフ関係の書籍を調べてみたが、どれにも掲載されていなかった。不明である。

 

表1  左端アルファベット                   表2  左から2番目のアルファベット
アルファベット 生産された月           アルファベット 生産された年 
A 1     C 1969
 B 2   D 1970
 C 3   E 1971
D 4   G 1972
E 5   H 1973
G 6   J 1974
H 7   K 1975
J 8   N 1976
K 9   P 1977
N 10   X 1978
P 11      
X 12      

1981年~1983年の750cc

年式表記のルールは、再び大きく変わり、表3のように頭3桁のアルファベットで識別する。たぶん、1978年には”x"まで使ってしまったからであろう。

表3  頭3桁のアルファベットの意味

頭の3桁 年式  該当年月
KDA 1981年モデル 1980年9月 ~ 1981年8月
EDA 1982年モデル 1981年9月 ~ 1982年8月
BEA 1983年モデル 1982年9月 ~ 1983年8月

1985年以降のHarris Bonneville

エンジンとフレーム番号が 00003 以降ということだけがわかっている。